これでいいのか学校のいじめ対策


◆いじめ解決に一番大切なこと

当時、私は福島県に住んでおり、いじめの相談者は愛知県です。足を運ぶ余裕はありません。最後の最後、学校と交渉するときは足を運ばなくてはと考えていましたが、結局すべて電話とメールで相談に応じました。

私は、いじめを解決した経験を持つ方からアドバイスをもらいながら相談に応じましたが、そうしたパイプがあったことは私にとって大変心強かったのです。

これがなければ、「解決する覚悟」だけがあっても解決することは困難でした。

いじめを解決するために一番大切なことは、「親が子供を守る覚悟を決めること」です。それが定まらなければ、こちらがいくら助けてあげようと思っても、なかなか解決できません。

実際にA君もお母さんに話をしない状況が続いていて、親子の絆が結ばれるまで1ケ月半かかりました。

とにかくお母さんには、「子供を守る覚悟を決める」ことと、子供にも「絶対にお母さんがあなたを守る」という思いを伝えること、伝わることが大切だと言い続けました。

その間、A君をいじめていたC君から自宅に電話がかかってきたり、自宅に訪ねてきたりしており、A君は外出を怖がり、家に閉じこもりの状態が続きました。

◆クラス担任の対応

A君が暴力を受けてケガをした日の夕方、お母さんは担任の先生に電話を入れました。

すぐに担任の先生は自宅に訪ねてきて、翌日A君を休ませましたが、翌々日の朝から担任の先生が自ら迎えに来るようになったそうです。

私はそれを聞いて、担任の先生はいじめを解決しようとしているのかと思ったのですが、ところがよくお母さんから話を聞いてみるとそうではありませんでした。

担任はA君の登校の時間をずらして、自分のクラスではなく特別教室で自習させていました。おまけに休み時間もずらして取らせていたのです。

つまり、「いじめているB君とC君」が「いじめられているA君」が会わないように、A君を特別教室に隔離したのです。

お母さんに尋ねてみるとA君の他にも特別教室には10名の生徒がいることもわかりました。 結局、学校のいじめ対策は、「いじめられている生徒を隔離する」という方法だったのです。

いじめを受けている生徒を隔離して、いじめている側の生徒に適切な指導がなければ、この学校からいじめがなくなることはありません。

◆解決へ進展したと思ったが・・・

1月初めに私が相談を受けた時、お母さんの希望は、A君を特別教室ではなく「自分のクラスで授業を受けられるようにしてあげたい」というものでした。

2月に入って少し状況が落ち着いたころ、お母さんから「担任との話で子供が好きな教科だけ授業に戻るということになった」との連絡がありました。

その際、担任は、お母さんにこう言ったそうです。

「いじめた生徒もかわいそうだから、他の人にその生徒の名前を話さないようにしてください。」

私はこれを聞いた時、「担任の先生は本気でいじめを解決しようとはしていない」と確信しました。

担任は、いじめが外に知られないように、お母さんとA君にいじめを受けていることを話さないよう口封じをしただけなのです。

この教師の心理が私にはよくわかります。中学校の講師をしていた時に、私自身も正直学校の不祥事は外に知らたくはないと思うことがあったからです。





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